源スタジオは建築に関する概念をテーマに制作、研究するスタンスをとっています。
以下に、制作テーマ(設計課題にもしています)、研究テーマの例を挙げておきます。
<身体と建築>
人が事物に出会うとき、多くの場合、自分の知っている諸概念を参照し、
該当する概念を当てはめたり、ずれを見出して事物を認識しています。
これらの概念は社会的、文化的に共有されていますが、同時に個人に内在しています。
このような概念の働きを通して外部と出会っていると感じ知ったとき、
人はその内部性に気付き、閉塞感や不安定な自己存在を感じるのではないでしょうか。
この意味で、概念を超えたみずみずしい外部に出会うことはとても大切なことです。
それは五感を統合する身体を通して行われるという考えのもとに建築を考えるテーマです。
<歴史的都市の変容に学ぶ>
みずみずしい外部を受容する身体がある一方、極めて慣習的な身体があります。
ソファを背に、日本的に床座りするシーンはドラマなどでよく見かけます。
歴史的都市の街路、建物の境界などには地域の人に共有され、
コミュニケーションの場となる身体になじんだ空間があります。
この生活文化としての人間関係を成立させる場という視点は重要です。
場の保存は有効な手だてですが、社会、経済環境の変化に応じたい場合もあります。
歴史的都市は、空間のかたちはそのままに、それを異なる形式(概念)に解釈し、
新旧の空間形式が重なりつつ変容してきました。この変容を方法的に生かすテーマです。
<日本の木造建築の変遷>
日本の古代から近代までの木造建築が物的にどのようにイメージされて来たか、
その架構や空間概念の生成、変容を背景とともに研究するテーマです。

  
源 愛日児(Minamoto Aihiko)
教授(工学博士)
1951年京都府生まれ
東京大学卒業
東京大学大学院修了
連絡先:minamoto
musabi.ac.jp
専門分野:建築構法
研究テーマ:建築に関する諸概念の研究
主な建築作品:
暮坂の山荘
F団地外構再生計画
house KM
house MK
主な著作:
「ジョイント」(『現代建築の発想』所収)丸善,1989年
『飛騨古川町タウントレイル2』飛騨の匠文化館,2006年
「歴史の中の継手仕口」(『木組み・継手と組手の技法』所収)誠文堂新光社,2011年
『指物(指付け技法)の変遷過程と歴史的木造架構の類型化に関する研究』(共著)科研費研究成果報告書,2005年
『木造軸組構法の近代化』中央公論美術出版社,2009年
『中村達太郎 日本建築辞彙[新訂]』(共編,共著)中央公論美術出版,2011年
担当科目:
建築構法
建築構法特論
設計計画II
設計計画III
設計計画IV
卒業制作
大学院