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武蔵野美術大学建築学科の皆さんへ 教員からのメッセージ

武蔵野美術大学建築学科の皆さんへ 教員からのメッセージ

武蔵野美術大学造形学部建築学科
教授 鈴木 明

現在、私たちは「3密」、すなわち「密集、密閉、密接」を避けるよう求められています。これらは人間社会、そして建築と都市を構成するもっとも基本的な要素です。それを、実行できないことはとてもつらい。みんなもひとりで部屋に閉じこもらざるを得ないので、そのつらさを日々実感していることと思います。
「ボイズ」(Boids/Bird-oid:鳥もどき)という、群れをなして飛ぶ鳥を再現したプログラム(1986、C. レイノルズ)の話を紹介しましょう。まず、以下のムービーを見てください。
https://youtu.be/86iQiV3-3IA
このプログラムは3つの、とても簡単な約束事で作られています。それは、一羽の鳥は他の鳥との関係つまり〈一定の距離〉〈同じスピードと方向〉〈群の中心に向かう〉を定義するだけで、群をなすことができるのです。この原理によって本物の鳥の群れにも、そこには強力なリーダー格の鳥、先輩の鳥が号令を出してみんなを引っ張っているわけではない、ということがわかるのですね。
建築は「空間」を扱います。空間は、そこで生活する人、仕事をしたり、人と出会ったりする、つまり社会的な関係をつくりだすための、重要な要素です。その個別の空間を、生活のなかで身体化することによって、より大きな空間を備える都市をなんとかうまく生きてきました。「3密」はそのことを意識化するきっかけを作ってくれたと考えたい。私たちは「ボイズ」のプログラムから、そのことを学ばなければならないのではないでしょうか?
私も、狭い家の中を歩き回りながらも、窓の外に意外な景色が広がっていることに気づいたりする毎日を、積極的に楽しもうと思っています。みなさんも、しばらく「3密」できないつらい機会を逆に利用して、人間と空間、そして建築と都市との関係を考えてみてくださいね。
以下は、ロンドンのテート・モダン美術館、タンクス(2012、ヘルツォーク・アンド・ド=ムーロン設計、)におけるパフォーマンス。空間と時間を考えさせるとても素敵なダンス(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル)です。(以下のリンクをクリックしてください)
https://youtu.be/DojShMLN9Zk
直接お目にかかれる日を楽しみにしております。

|その他|2020年4月 9日 18:00 |ページトップ↑

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